マーケットとGTM
GTMを考えるのはPMF後でいいのか
課題特定やプロダクト開発を優先し、多くのスタートアップで後回しにされがち(それでよいと思われがち)なマーケットやGTM(Go to Market)ですが、SEREALでは一番最初、事業仮説を立てる時点で定義することをおすすめしています。
今回はその理由と、少し勘違いされているマーケットやGTMとは何かという話も含めて説明していきたいと思います。
マーケットとは
マーケットとはニーズが(お金などを媒介とし)取引・交換される場のことをいいます。
例えば音楽を例にマーケットを説明すると「音楽(音)を聴きたい」というニーズがお金で取引される場の集合が音楽マーケットであり、音楽マーケットの中にはライブ、CD、ストリーミングなどさまざまな個別のマーケットが存在しています。
マーケットには種別がある
前述した通りマーケットはニーズが取引される場です。
ただし、ニーズそのものをベースにしたニーズベースのマーケットもあれば、そのニーズに対応するソリューションベースのもの、プロダクト(サービス)ベースにしたものなど、ニーズそのものが取引されるマーケットの定義と、ソリューションやプロダクトなどを介して間接的にニーズが取引されるマーケットの定義の仕方があります。
ソリューションベースもプロダクトベースも元をたどればそのソリューションやプロダクトが満たしている特定のニーズを取引しているマーケットであると言えます。
例えば上の図のように「家で美味しい料理を食べたい」というニーズをかなえるマーケットがニーズベースのマーケットでこれを全体とすると、これらのニーズを満たす、配達(届けてもらう)、中食(買って帰る)、代行(代わりに作ってもらう)のようなソリューションベースのマーケットがその中に存在することがわかります。さらに配達マーケットの中には、出前やオンデマンドデリバリーなどプロダクト、サービスベースのマーケットが存在します。
ちなみに、マーケットの規模を定義するときによく使われるTAM SAM SOMですが、SAMはこの種別でいうとプロダクトベースのマーケットのことを指しており、TAMはニーズベースであることが多いです。
事業はマーケットに強く依存する
事業はマーケットに強く依存します。マーケットと聞くと市場規模のことをイメージする方も多くいると思いますが、それだけではなくマーケットにはそれぞれ特性があり(マーケット特性と呼んでいます)、その特性によって事業ゴール達成の難易度・リターンの大きさ・ゲームのルールが異なります。
そのため、プロダクトやマーケティングの戦略を考える前に、参入するマーケット特性を知り、勝ち筋や、そもそも事業ゴールを達成可能なマーケットかどうかを考慮して、マーケットを選定する必要があります。
下記にマーケット特性として把握しておくべき代表的なものを紹介しているので、マーケットの選定や参入しているマーケットが正しいかを考える参考にしてみてください。
市場規模だけでなく上記のように顧客属性や市場構成など、マーケットの特性を把握しておくとプロダクト・ビジネスモデル・マーケティングなど、それぞれがどうあるべきかある程度みえてくるはずです。これによって蓋然性の高い事業仮説を立てることができます。
また半分余談ですが、市場規模を大きく見せたいためなのかマーケットを定義するときに「Well-being市場」や「ヘルスケア市場」などの切り口でマーケットを定義するケースをよく見かけますが、ニーズが明確に定義できないマーケットの定義は、マーケット特性がみえない又は特性を見る意味がなくなるため、個人的にはおすすめしていません。
GTMとは
マーケットと同様に、GTMも少し勘違いされている概念だと思います。
GTMとは、特定のマーケットでどのようなポジションを確立・維持するのか、またそのために必要な戦略、いわゆる「勝ち筋」のことを指します。選定したマーケットにおいて設定したポジションを確立するための具体的な道筋が勝ち筋であり、このポジションと勝ち筋が明確になっていればさらに事業の蓋然性は高くなり、プロダクトやマーケティング戦略の精度も高くなっていくわけです。
GTM戦略はマーケティング戦略ではない
ここまでの説明でわかる通り、マーケットの選定とGTMは事業戦略であり、これらを元にプロダクト戦略とマーケティング戦略を設計していきます。「プロダクトがユーザーに受け入れられてきたので、これからGTMです。」という発言を起業家から聞くことが多いのですが、意図している背景次第ではGTMを誤解していると思われます。
繰り返しになりますが、GTMとは特定のマーケットにおいて、事業ゴールなどを達成するためにどのようなポジションを確立するか、またはその戦略のことをいいます。すなわち、プロダクトができてからGTMではなく、GTMありきでプロダクトをつくるというのが本来あるべき考え方です。もしかしたらGTMをマーケティングと勘違いしているのかもしれませんが、マーケティングもまたGTMありきで設計されるべきものになります。(「GTMをもとにしたプロダクトが完成したので、GTMを達成可能か実際のマーケットで検証する」という意味であれば本来の概念に沿った使い方かもしれませんね。)
下記の図で、GTMとマーケティングの違いを簡単に説明しているので参考にしてみてください。
結論、マーケットとGTMは最初に考えておいたほうがいい
SEREALのマーケット、GTMの考え方はいかがでしたか?本記事でマーケットとGTMの重要性、そしてはじめにある程度検討しておいた方がいいことが少しでもスタートアップの皆さんに伝われば幸いです。
それではまた。
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